分散システムとポエム

SRE NEXT 2026での登壇&参加を終えて #srenext

登壇

2025年の11月頃からネタを準備していたので,我が子の晴れ舞台のような印象でした.SRE NEXTでは初めての登壇で貴重な機会になりました.

SREの分野ではインシデントのstatsが不足していて,データにもとづく解析や対処をもっと積極的に行うべきだと思っていました.BigTech各社で集計した結果が論文として公開されている一方で,それが一般化できるのかは不明確でした.こうした課題を解決するために,複数のデータソースを解析した包括的な分析を行いました.

資料を事前に公開していたことも影響しているのか,想像していたよりも多くの方に発表を聴講いただけたのが意外でした.発表資料には論文の内容を要約したシンプルな結果だけを載せるように心がけていました.図や表を積極的に取り入れて人間だからこそ出来るスライドづくりを意識していました.口頭発表では国内学会や国際会議での発表経験もあるため,緊張せずに落ち着いて話せたと思います.

発表の様子 (Photo by @pana_pana_kuma)

Ask The SpeakerやDay 1のBar Sueで発表内容に関する質問や感想を直に聞けたのが良かったです.対面で参加する醍醐味を感じました.特に「今日のセッションの中で一番おもしろい内容だった」というコメントは,一番やりがいを感じました.XのタイムラインではGeekな感想やコメントもあり,上手く伝わったように感じました.

セッションへの感想ツイートのまとめ
https://posfie.com/@tmyk_kym/p/c4vqJ3A

出会い

さくらインターネット研究所のYuuk1さんとは以前から何度もやり取りがあり,久しぶりの意見交換で有意義でした.LINEヤフーのmaruさんとは初対面でありながら,インシデント分析まわりの課題意識が通じることが多く,Ask The Speakerの時間だけで収まらないほどの有意義な議論ができました.

Day 1のキーノートのDavid Blank-Edelmanさんが私のセッションを聞きに来ていたのも嬉しかったです.セッション後に声をかけたら,「Microsoft Researchにはレスリー・ランポートがいるからね」という話になり,さすがBigTechだなと思いました.

Day2の懇親会の二次会では,しぶい技術の話をもっと聞きたいという話で盛り上がりました.しぶいSREで登壇していた kani_b さんのSMTPと初期のAWSの話は,技術的なワクワクを感じました.「しぶいSREカンファレンス」や「ポストモーテムカンファレンス」のようなイベントがあっても良さそうーという話にもなりました.自分を含めて皆さんの失敗から再発防止をどうしたら出来るのか議論したり,傾向の分析は価値あることだと思っています.雑にポストしたら意外と反応がよかったので,本気でやろうかなと思っています.

AI時代のソフトウェア開発と信頼性

懇親会で議論になった点の1つはAI時代のソフトウェア開発と信頼性でした.ここでの信頼性は主に可用性です.ソフトウェアのソースコードの生成にかかる時間は,生成AIを使うことで短縮されます.一方で人間がそのレビューに疲弊するのと,疲弊することに伴ってレビューが疎かになる問題がおきていると思っています.生成AIのコードを生成AIがレビューすることも解決策になり得ますが,はたしてそのコードレビューのクオリティがどれほど信頼できるかは不確実だと思います.何より生成AIの出力は非決定的(Non-deterministic)であることを覚えておく必要があるはずです.

AI時代のソフトウェア開発においては,商用システムで障害がまったく起きないことを考えるよりも,障害が起きてもその影響範囲を最小限に抑え込むことのほうが現実的ではないかと思っています.ここでの影響範囲は,時間軸とエラーの影響を受けるリクエスト数やユーザ数をさしています.仮に商用システムで障害が発生しても,その時間が短ければ影響範囲を狭められます.また,段階的にリリースを行うことで障害の影響をうけるリクエスト数やユーザ数を減らせると,影響範囲を狭められます.モニタリングによる異常検知と自動ロールバックシステム(CI/CD),段階的リリースを組み合わせると,仮に障害が起きても影響範囲を狭められるのではないかと思っています.この辺りの要件はビジネスの要件次第であるため,一概にはいえませんが考え方を改めることも必要なのではないかと思っています.

おわりに

まだ公開できていない分析データや論文が残っているので,SRE KaigiやSRE NEXTで公開していければ良いと思っています.また,メルカリの社内でも同様のデータを分析して,特徴や傾向が公開できると良いと思っています.信頼性とは何かをじっくり議論できた充実した2日間になりました.

スタッフの皆さんとスポンサーの各社のおかげでSRE NEXTを開催できていると思いました.また,NOCチームのおかげで快適なネットワークでした.ありがとうございました.おつかれさまでした!

人気の投稿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です